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クレカ決済ならば領収書はいらないのか

Posted on Thu 08 August 2013 ( 2018-08-03 update ) in computing

ネット通販が認知されるようになり、クレジットカード決済も一般的に利用されるようになってきました。国が出している統計資料にもその傾向が現れています。手数料が掛かるものの販売機会を広げるクレジットカード決済は、ネットショップにとっても有用なツールといえます。

誰からお金をもらうのか?誰にお金を払うのか?

商品やサービスを販売し、その対価を受け取った場合、販売した店舗は購入者の求めに応じて領収書を発行しなければなりません。また、必要であれば領収書に収入印紙の貼付けが必要となります。当然、ネットショップでの販売においても同様で対価を受領した場合は、領収書の発行が必要となります。

山田商店は人気の商品である文旦をAさんに販売したとします。Aさんはクレジットカード決済を選択しました。この場合、山田商店が領収書を発行すべきはAさんではなく直接代金を受け取るクレジットカード会社になります。Aさんのお宅は文旦の配送先というだけであって、直接の取引はクレジットカード会社になるからです。

Aさんの立場で考えてみましょう。山田商店から文旦を購入した。ポイントを溜められるのでクレジットカードで決済することにした。つまり、クレジットカード会社という販売店を仲介に指定してそこから購入したことになります。従ってクレジットカード会社が発行する利用明細が領収書にあたるものとなります。実際に経費計上にクレジットカード明細書を充てても問題なく受け入れてもらえるのはその証左といえるでしょう。

「領収書をください」は断ることができる

ネットショップを運営していれば、必ずと言っていいくらいに「領収書をください」という依頼がきます。直接代金を受け取った場合は法令の定める通り、直接金銭を支払ったお客様にたいして領収書を発行しなければなりません。

民法第486条 弁済者ハ弁済受領者ニ対シテ受取証書ノ交付ヲ請求スルコトヲ得

民法の記述は古いので現代風に置き換えると、「弁済をした者は、弁済を受領した者に対して受取証書の交付を請求することができる」となります。

買った人は二重払いすることがないように支払ったことを証明するために領収書を請求できるという条文ですが、商行為は同時に行うものであるため領収書の発行がセットということになります。また、領収書の発行をお店が正当な理由もなく拒否する場合は購入を拒否することができるという判例がでています。

本来なら、クレジットカード決済の場合はお客様から料金をいただいていないので領収書の発行を断ることができます。注文と決済が終了し、いざ商品の発送というとき、手元にその代金はあるでしょうか?クレジットカード会社の締めが完了して支払日にならなければ入金はされていません。お金も貰っていないのに領収書を発行するのはおかしいと判ります。

また、ATMなどで銀行振込をしたときに印刷された伝票を確認してみてください。宛先や金額が入っており、収入印紙を省略する旨記載があると思います。実はこれは領収書にあたるものです。領収書はお金を受け取ったいう証ですので銀行振込の場合はこの伝票をもって領収書とすることもできます。

領収書をお買い上げ明細書で対応する

いちいち法令の説明をして領収書を発行しない旨を伝えたとしても納得されるお客様は少ないでしょう。「金銭支払いの証として受取証書を請求することができる」という条文が「商品を販売したお店は領収書を発行しなければならない」と理解されていることがほとんどだからです。実際のところ、「なんて不真面目な店だ!」とお客様がご立腹というパターンは枚挙に暇がありません。

多くのネットショップで発行しているのは、「お買い上げ明細書」になります。購入者の情報に加えて、購入いただいた商品名や単価、合計の金額が記載されています。ほぼ領収書と同じ内容です。直接金銭を支払っていないカード決済購入者に対して領収書を発行することは本来ですとおかしな行為です。お金も貰っていないのに領収書を発行していたら架空の領収書ですね。架空の領収書をバンバン発行していたら怒られます。そのため、納品書やお買い上げ明細書が商品取引の時点での証として発行されています。一般のお客様ならばこのお買い上げ明細書でご納得いただけることでしょう。

「いや会社の経費だから領収書を発行しろ!」と強硬に要求される場合があります。お店としては法令説明する時間がもったいないと考えますので、お店で発行するお買い上げ明細書に「領収書」というタイトルをつけて発行します。本来ですと、クレジットカード会社発行のクレジットカード取引明細書が正の書類になり、お店発行の領収書(実態はお買い上げ明細書)は代わりです。役所ではどちらも受け付けてくれるので問題とはなりませんが、厳密な対応するならば要らない書類を取り寄せていることになりますね。

たとえ回りくどくておかしなことでも、法令で決められていることでなくても、商習慣という流れで一般化しています。なるべく、お客様の要望には応えて気持ちのよい対応を行いたいものです。手間とコストのバランスを取りつつですね。